総合科学研究科農学専攻動物科学コースの五十嵐あかりさんと菅原千尋さんが、2024年8月28から29日に開催された第73回東北畜産学会青森大会にて「優秀発表賞」を受賞しました。
本賞は、40歳未満の会員の中で、優れた研究を行い発表したと認められる会員に授与されるものです。
接触型電極を用いたインピーダンス測定による鹿肉のpHの非破壊推定
五十嵐あかり
近年、ニホンジカによる農林業被害が深刻になっています。しかし、駆除のために捕獲されたシカのうち,食肉などのジビエとしての利用割合は捕獲数の約15%にとどまっています。シカの捕獲方法は鹿肉のpHに影響を及ぼし、鹿肉のpHが高くなると加熱中の保水性が高くなります。したがって、鹿肉を調理または加工して喫食する場合には、pHの違いによる保水性(肉汁の漏出の程度)の特徴を考慮する必要があります。また、このためには、鹿肉のpHを流通の段階で非破壊的に測定する必要があり、その方法の一つとしてインピーダンス(交流回路における電流の流れにくさ)に着目しました。そこで、野生ニホンジカの筋肉を用いて接触型電極によるインピーダンス測定を行い、pHとの関係について検討を行いました。その結果、10 kHzにおいて接触型電極を用いて貯蔵前に鹿肉のインピーダンスを測定することにより、貯蔵24時間後の鹿肉のpHを非破壊的に推定できることが明らかとなりました。
イワテヤマナシ果汁の浸漬および注入が日本短角種牛肉のテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響
菅原千尋
和牛の1品種であり、主に岩手県で生産されている日本短角種は、その牛肉に含まれる脂肪含量が低いことから、黒毛和種の牛肉に比較して硬いと評価されています。そのため、日本短角種牛肉を軟化させる方法が求められてきました。私たちの研究室では、ナシにはタンパク質分解酵素が含まれているため、イワテヤマナシの果汁に日本短角種牛肉を浸漬させることにより、牛肉の表面に近い部分を軟化できることを明らかにしてきました。また、タンパク質分解酵素を含むパイナップルの果汁を日本短角種牛肉に注入することにより、牛肉の中心部分を軟化できることも明らかにしてきました。そこで、日本短角種牛肉をイワテヤマナシの果汁に浸漬させる前に果汁を注入し、牛肉のテクスチャー特性(硬さなど)および保水性(肉汁の漏出の程度)に及ぼす影響について検討を行いました。その結果、注入浸漬処理は軟化効果が高く、また保水性も低下しない軟化方法であることが明らかとなりました。
当ウェブサイトは、利便性、品質維持?向上を目的に、Cookieを使用しております。
詳しくは、クッキーポリシーをご参照ください。
Cookieの利用に同意頂ける場合は、「同意する」ボタンを押してください。クッキーポリシーはこちら