【プレスリリース】Actin7 (ACT7) を植物開発の主要な調節因子として同定

掲載日2022.07.01
最新研究

農学部植物生命科学科/岩手大学大学院連合農学研究科
ラーマン?アビドゥール
植物ホルモン、 非生物的ストレス、植物の成長と発達、ファイトレメディエーション

岩手大学農学部植物生物科学科のラーマン?アビドゥール准教授の研究グループは、ACT7タンパク質を植物の根の発達の主要な調節因子として特定しました。沼田 剛宏 (岩手大学総合科学研究科農学専攻(当時))、杉田 健史(岩手大学大学院連合農学研究科)、ラーマン?アリファ?アハメード博士(特任准教授、岩手大学大学院連合農学研究科)と ラーマン?アビドゥール(准教授、岩手大学農学部植物生命科学科/岩手大学大学院連合農学研究科)のグループの研究成果です。

植物の根は土壌から必要な栄養素と水を植物に提供するため、植物/作物の最適な成長と発達および収量において、根の適切な発達は重要な要素です。さらに、温度ストレス、干ばつストレス、塩分ストレス、洪水などのさまざまな非生物的ストレス下では、根の成長が著しく阻害され、最終的には植物/作物全体の成長に影響を及ぼし、作物の収量が減少します。世界の人口は2050年までに91億人に増加しますが、農地は5%しか増加しません(www.fao.org)。さらに、気候変動のために、植物はこれまでになく頻繁にさまざまな非生物的ストレスに遭遇するため、世界中の作物生産性が限られてしまいます(IPCCレポート、2018年)。したがって、増加した人口を養い、SDGsの目標数2(飢餓をゼロに)を達成するためには、将来の非生物的ストレス耐性植物/作物を開発することが急務です。

このため、根の発達のメカニズムを理解することは、目標を達成するための第一歩として考えられます。本研究では、ラーマン研究グループは、モデル植物シロイヌナズナを使用して根の発達を制御する重要な調節タンパク質として、アクチンアイソバリアントの1つであるACT7を特定しました。ACT7タンパク質は保存性が高いタンパク質であり、植物種全体で同じ機能を果たしています。この発見は、世界中の科学者がより強力な根系構造を持つ植物/作物を開発するのに役に立ち、将来の農業と食糧生産に潜在的な影響を与えると考えられます。

本研究成果は、英国Oxford University Press社が発行する科学雑誌「Journal of Experimental Botany、2021年度 IF-6.99; 5年間IF-7.86」に2022年6月24日(日本時間/事前公開)に公開されました。

【掲載論文】


掲載紙:Journal of Experimental Botany
論文名:Actin isovariant ACT7 controls root meristem development in Arabidopsis through modulating auxin and ethylene responses
著 者:沼田 剛宏 岩手大学大学院総合科学研究科農学専攻 修士課程(当時)
杉田 健史 岩手大学大学院連合農学研究科 博士課程2年
ラーマン?アリファ?アハメード 岩手大学大学院連合農学研究科 特任准教授 
    ラーマン?アビドゥール 農学部植物生命科学科/岩手大学大学院連合農学研究科 准教授
公表日:2022年6月24日(日本時間、事前公開)
DOI番号:https://doi.org/10.1093/jxb/erac280
URL: https://academic.oup.com/jxb/advance-article/doi/10.1093/jxb/erac280/6617659?guestAccessKey=c863b02a-87f4-47f8-a193-9ae0d4960665

本研究成果の詳細は、以下のプレスリリースをご覧ください。